お家にとってコーキングは大切な部分の一つ。外壁のコーキングの切れや劣化が気になってきていませんか?
コーキングはそもそもどういう役割を持っているのか? コーキングが痛むことでどんな悪影響が出るのか?
コーキング工事の金額はどうやって決めているの?・・・などについてご説明いたします。
コーキングは何のためにするのでしょうか?
一番の肝心な理由は外部からの水の侵入を防ぐ事です。水が浸入してしまうと下地や土台が腐ってしまいます。
また、建物の内部にまで水が入ってきたり天井から雨漏りしてしまうなんて事も多くあります。
建物は建てる際に手間暇かけて建てたとしても、時間が経つ毎に少しづつ色々な部分が劣化してしまいます。
・屋根板金が紫外線や気温の変化により傷む
・サイディング等の外壁材が紫外線や雨風、内部からの湿気により傷む
・各所のコーキングが劣化し切れやひび割れを起こす
・各所の塗膜が劣化し充分な保護性能を発揮できなくなる
・基礎部がだんだん水分を含み、中のコンクリートが中性化し鉄筋も錆び始める
代表的な目に見える部分だけでもこのくらいはあります。
今回はコーキングについてですので、次からコーキングについて詳しく説明していきます。
一般的に皆さんがコーキングと呼んでいるもの。あなたのお家のどんな所に使われているでしょうか?
サイディング目地・サッシ周り・外壁と軒天の取り合い・屋根の釘頭・キッチンパネル目地・・・などがパッと思いつく箇所でしょうか。
実はそれ以外にも住宅にはコーキング(シーリング)処理をしている部分はたくさんあります!
例えば基礎の上に乗っている土台。この土台と基礎の取り合いを外周ぐるっとコーキング等を打っている事も多くあります。
骨組みが出来上がり外壁下地の合板やボードを張った後に、サッシを取り付ける際にもツバにシリコンを打つ事も。
換気口や防水コンセントを取り付ける際も内側にコーキングをしていますし、電気のメーターボックス周りにも打っている業者もあります。
後は屋根を葺く時も、ジョイント部分の両端を加工しコーキングを打ってから次の屋根を葺いていきます。
ざっと説明しただけでも、家全体となると結構な数のコーキング処理が行われているのがわかりますね。
ちなみに・・・シーリング材とコーキング材は厳密には異なるもののようですが、現在では建築業界でもほぼ同じ意味で使われています。
ですので、皆さんも基本的にはシーリングとコーキングは同じ意味のものと考えて大丈夫です。
ではそれぞれ全てが同じコーキングと言えるのでしょうか? 答えは「NO」です。
一口にコーキングと言ってもコーキング材には種類が色々あるんです。
近年ではホームセンターも品揃えが豊富になったので知っている方もいるかと思いますが、
住宅で主に使われている代表的なものでも「ウレタン」「変性シリコン」「シリコン」の3種類があります。
その他の工事によっては他の種類を使う事もありますが、住宅に関しては基本この3種だと思います。
ただ他にも「アクリル」や「油性系」のコーキングを使う場合もあります。
【ウレタン】
主にコンクリート・金属・木材などに適したタイプで、弾力性を保ち耐久性も高いです。
紫外線に弱いので外壁などの外観箇所には向いていないと言われますが、
使っている業者もあるので上から塗装をすれば外壁に使えない訳ではありません。
また、埃が吸いついてしまう性質があるので使用箇所には注意が必要です。
【変成シリコン】
外観箇所・サイディング目地・屋根などの金属など多目的に使う事ができます。
耐候性が高いので板金屋さんが屋根に使うのはこのタイプが一番多いのではないでしょうか?
10年ほどの耐久性があり、塗装の前後に関わらず使用でき、乾きも早いと思います。
【シリコン】
ボンドシリコンコークも含めて、大工さんや設備屋さん電気屋さんなど幅広く使われているのがこのタイプでしょうか。
乾きがとても早いので使い易いのか、ご自分で外壁の補修をしている方はこれを使っているのをよく見かけます。
住宅内の窓周りやキッチンパネル目地、洗面台と壁の取り合い、床廻りなどによく使われます。
しかしそのまま上に塗装をしても塗料を弾いてしまうため、基本的に外観箇所にはあまり使いません。
簡単な説明でしたが、それぞれの違いはお分かりいただけましたか?
【シリコン】に関してはDIY感覚で外壁に使われると、僕たち塗装屋は結構困ってしまいます・・・。
そのままでは塗装できないし、撤去しようにも薄く残ってしまうので撤去が大変です。
値段の高い2液型の専用プライマーを塗れば塗料も喰いつきますが、他のコーキングと比べて密着度は低いでしょう。
次にコーキングが切れていたり劣化していたりするとどうなってしまうのか?
コーキングは主に雨や風からお家を守るためのものです。屋根ですと雨漏り防止やジョイント部を強くするため。
外壁ですと目地やサッシ周りから雨などが侵入しないようにするためにあるんです。
ですからコーキングに異常があると、下地に水が回ったり家の内部にまで浸透してくる可能性もあります!
そうなってくると、肝心要である柱が腐ったり断熱材痛みも激しくなるので、大規模な改修が必要になってしまいます!
つまりコーキングを万全の状態に保つ事は、お家全体の長寿命化・メンテナンス費の低下に繋がるんですね。
新築を建てる際は外壁の張り上がった段階でコーキングを打つ訳ですが、
塗替え時は2パターンのやり方があります。それが"先打ち" "後打ち"です!
その2つがどう違うのかと言うと、塗装前と塗装後のどっちのタイミングでコーキングを仕上げるか、
なのですが・・・どちらにもメリット・デメリットがあるので、施工業者とお客さんで話し合って決める事が大切!!
【先打ち】
まずは先打ちについてです。
これは単純に作業性も良いんですが、コーキング表面に塗料が2層や3層重なってしまいます。
コーキングも紫外線が劣化原因の1つですから、塗膜で保護されるというのは持ちが良くなるのでプラス要素!
でも、コーキングは外壁や建物自体の歪み・伸縮に追従するようになっていますから、
塗膜はコーキングの動きに付いていく事ができずにひび割れてしまうんですね。
ひび割れるまで、そして多少のひび割れであれば紫外線等から保護し続ける事ができますので、
結果的に先打ちの方がコーキング自体の寿命も長くなると言われています!
でもひび割れしているのって気になりますよね?
塗膜が割れる事を前提に、先打ちの場合は上塗り塗料と同色(または近似色)のコーキング材を使用するのが基本!!
例えば外壁の上塗り塗料が赤なのにコーキングが白だと凄く目立ちますからね。
【後打ち】
次に後打ちですが、これは表面に塗膜ができないため"塗膜のひび割れ"は基本的に起こりません。
コーキング材の伸縮性能も十分に発揮できるでしょう。
しかし塗膜がない=紫外線から保護してくれるものがなにもない!という事。
そうなってくるとコーキング自体の寿命はカタログ通りか数年短くなってしまいます。
また、施工する立場からしても先打ちに比べて作業性が悪い点は否めません。
塗膜がある程度乾ききっていないと、マスキングテープを剥した際にテープの後が残りますし、
下手な人がやった場合テープが浮いていてプライマーが外壁に付着してしまったり、
浮いて隙間になっている所にコーキング材がはみ出てしまい汚くなります。掃除や補修も面倒ですし。
もちろんしっかりとしたやり方で丁寧に行えば外壁を汚したりする心配はありませんし、
塗膜ひび割れがない点で数年後の見た目もキレイですから、後打ちを否定する訳ではないです。
クリヤー塗装をする場合は基本後打ちですし。
・・・という事で、"先打ち"も"後打ち"もそれぞれ特長がある事がわかりましたね。
結局は好き好きなのでどちらを選んでも問題はないと思います!
塗装店によってもどちらかでやっている所も多いように思います。
この記事をお読みになりコーキング工事をお考えになる方もおられるかもしれませんが、業者選びは慎重に行ってください!
近年問題になっている悪徳業者というのは、どんな地域でも少なからず一定数存在するでしょう。
会社の規模や株式・個人の違いはさほど重要ではありません。丁寧にしっかりした仕事をしてくれる業者を選んでください。
例を挙げますと、必要以上にバックアップ材を使いコーキング材をケチった結果、コーキングの厚みが極端に薄かったり・・・
サイディングの接着面にしっかりプライマーを塗らない・・・なんて事が起こる可能性があるんですね。
コーキングは基本2面接着ですので両脇のサイディング部分にプライマーを塗るのですが、正面のジョイナーに塗ってしまう人もいます。
そうすると3面接着になりサイディングの動きに追従できず、切れたり剥がれたりしてしまうわけです。
また、コーキング施工箇所に適したコーキング材を使用する事も大切なのです。
仕上がりが良いのはもちろんの事、普通のお客さんが気付かない所で手を抜く業者には注意です!