塗料と素地の耐用年数

 

     塗装工事をお考えになったりインターネットで情報収集をしていると、「耐用年数」「耐久年数」などの言葉をよく耳にします。
     所謂「どのくらい持つか?」の持ちを表しており、塗料がどの程度の期間 外壁などを保護してくれるかという目安になっていますが、
     一般的には「フッ素塗料」「シリコン塗料」などの耐候性能の高い塗料の方が耐用年数が長く主に使われています。

 

     しかし一概に上記の塗料を使ったから絶対に〇年持つ という事ではなく、例えば同じシリコン塗料でもメーカーや種類により品質が違いますし
     塗装対象がサイディングなのか? モルタルなのか?などにも左右され、ケレン作業や洗浄を含めた下処理の度合でも変わってくるのです。

 

    「塗料による耐用年数と価格の違い」

     「アクリル」→「ウレタン」→「シリコン」→「フッ素」→「光触媒など」という順に耐用年数と価格が上がっていくようになっています。
     さらに二液型・一液型、水性・弱溶剤系・強溶剤系、弾性・微弾性などがあるので、塗料の品質は多岐に渡ります。
     上記の他に特殊な塗料などもあるため、価格の高い塗料が必ずしも長持ちする訳ではないことを覚えておいたください。

     

     また塗料の説明に記載してある耐用年数とは、塗料メーカーが設定しているのですが・・・
     あくまでも塗装後の塗料・塗膜に対して最適な環境下での耐用年数であると言えます。
     例えば、海が近く潮風などに長く晒される長時間紫外線を浴びる想定以上の雨風や雪によるダメージなどがあると、
     その程度に比例して塗膜が傷んでしまうため、耐用年数10年の塗料でも劣化するのが早くなって寿命が縮まるという事ですね。
     なので、標準の年数の間ずっと新品同様の状態を保っていけると思うのは間違いで、状況に応じてメンテナンス周期を早める必要があります。

 

 

    「塗替え時期の目安と判断基準」

     高価な塗料を塗れば長期間持つから安心できる! という訳ではないのはお分かりになっていただけましたか?。
     「じゃあ、どのくらい年数が経ったら塗替えが必要なの?」と疑問に思う方も多いと思います。
     しっかりと下処理をして その家に合った適切な材料を使用していれば、耐用年数と同等かそれに近いくらい持つでしょう。
     ですが、下処理を怠ったり塗料を薄めて使っていたりする場合は塗替え周期が早まってしまうのも事実!
     一般の方だと「正規の状態で劣化してきたのか」「手を抜かれたから劣化してきたのか」判断できない事もあると思います。

 

     主に塗膜が劣化してくると、表面を手で触った時白い粉のようなものが付く状態になり、これをチョーキング現象といいます。
     きちんとした工程で作業していれば 大体は耐用年数前後にチョーキング現象が起こるのですが、
     手抜き工事の場合などは数年でチョーキング現象が起こる場合もあるので、自分でチェックしてみると良いですよ。
       例えば・・・充分に洗浄をしていなかったり、上塗り塗料を密着させるために必要な下塗りのシーラーを塗っていなかったり
       上塗り回数が少なく膜厚がなかったり 規定以上に塗料を薄めていた場合、早くにチョーキング現象が起こる事になってしまいます。

     その他の症状だと、塗膜が膨れてきたり剥がれたりする可能性もあります。
     モルタル外壁などで内部からの湿気が多い箇所に適切な処置をせずに塗装してしまった場合や、
     外壁が濡れている状態(乾燥しきってない状態)で無理に作業を進めてしまった場合などに起こることがあります。
     特に弾性塗料(下地として吹き付けるアクリルタイルなども含む)の場合は、
     内部からの湿気の影響を大きく受けるためその傾向が顕著に現れます。

 

     屋根だと受ける紫外線の量は外壁よりも断然多いので、その分耐用年数も短くなってくると思いますが
     数年で艶がなくなってしまったり 色が飛んでぼけた感じになってきたら塗替えが必要でしょう。
     ただし勘違いしないで欲しいのは、塗料は塗って乾いたその段階から常に劣化しているという事です

 

     これらを自分でできる範囲で確認してみてください。屋根は晴れの日と曇りの日に破風などを眺めてみるといいです。
     もしも前回の塗装から僅か数年で上記の様な症状がある場合は、次の塗替えを依頼する塗装業者の変更も考える必要があります。

 

 

    「建物自体の耐用年数」

     塗料だけではなく、もちろん建物自体にも耐用年数があるんです。
     躯体部分などは別としても、外壁素材や屋根素材などは塗装してもどうにもならない場合もあります。
     外壁だと例えばサイディングが長年湿気に晒されて脆くなっていたり、モルタルだとパラパラ崩れてきたり。
     そうなってくるとただ塗装してもダメなので、しっかりとした補修をしたりする必要が出てきますし
     下地が腐っていたりする可能性もあるので、下地を直しサイディング張替えをする必要もあるかもしれません。
     屋根も余りにも錆びが多かったり、腐食が進み薄くなっている場合などは塗装よりも葺き替えるのがベストでしょう。

 

     ただ、外壁材や屋根材にも耐用年数があると言いましたが、塗料と同じく必ずしも規定年数持つ訳ではありませんよね?
     気候状況などの要因もありますが、定期的なメンテナンスをしていないと劣化が早まるのは言うまでもありません。

 

     そのメンテナンスの観点から見ると塗装による保護は最も大切なメンテナンスと言えるでしょう。
     多量の紫外線が直接当たるのと塗膜で保護されているのとでは素地自体のダメージは全然違います。
     他にはコーキングも大切ですね。コーキングが切れていたり劣化したりしている部分から、
     外壁の内部や下地部分に水が染み込んだりすると、それだけ傷むのが早くなってしまうんです。
     それ以外にもひび割れ(クラック)や破損箇所があれば早めに補修などの処置をするのも大切です。

 

 

     ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
     大切なお住まいですから末永く暮らしていけるようにメンテナンスは重要です。
     近年ではプロの塗装業者に依頼せずに自分で塗装や補修してしまう方や、素人の知り合いに頼む方もいらっしゃいます。
     しかしプロの仕事と素人の方の仕事は根本的に違うのは事実。材料も道具も作業手順も全然違うんです。
     建物の状態に見合った工法がありますので、塗替えをお考えの際は是非塗装専門店にご依頼ください!

 

 

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